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不十分すぎる…精子・卵子提供で生まれた子どもの親子関係を定める法案の「大きな課題」

父・母が誰かを決めるだけでいいのか

もしも、自分の精子では子どもができない、自分の卵子では子どもができない、と診断されたら、どうしますか。そして、他人から精子や卵子、胚(受精卵から胎児へと発達する間の状態)をもらって生殖補助医療(*1)によって子どもを得られる可能性があると知ったら、どうするか、想像したことがありますか。

生殖補助医療によって子どもを得ることを選ぶ際には、生まれてくる子のことを考えなければならない。

私は、生殖補助医療を実施する医師、提供精子や提供卵子で親になった人、そして提供精子によって生まれた人へのインタビューをしてきた。さらにわずかだが卵子の提供をした人、代理出産によって親になった人、斡旋する業者や非営利団体などに、日本、アメリカ、オーストラリアなどでインタビューをしてきた。

どこの国でも、生殖補助医療で親になろうとしている人は、子どもを愛情深く育てれば問題は生じないと考えていた。だが、実際にはいろいろな問題が生じていた。

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そのためにいくつかの国々では、精子や卵子、胚の授受や代理出産(法律では代理懐胎)に関わる新たな法律を作ってきた。

誰が父親か母親かという規定だけではなく、技術の安全性の管理方法や実施状態の統計を整備し、どの技術を実施して良いのか、それらを誰が使えるのか、金銭などの対価の授受があってもよいのかなどのルールを定めてきた。

それでも、どこの国も、技術の進歩といくつかの裁判例や事件を機に、法律を改正する作業を繰り返している。

(*1)生殖補助医療とは:ARTとも呼ばれる。カップル間の不妊治療のための体外受精や顕微授精に加えて、第三者の精子や卵子を使う体外受精や顕微授精、代理出産を含めた医療技術を指す。これによって不妊治療をしているカップルだけではなく、シングルやセクシュアルマイノリティの人たちが子どもをもつ可能性を拓く。