# 雇用

正社員だけが「退職金」をもらえる時代は、もう「終わり」を迎える

敗訴した最高裁判決に「希望」アリ
山崎 俊輔 プロフィール

退職金があれば「老後に2000万円」問題は解決する

現場ではまだ混乱があるようですが、「退職金は払わない分、給与を少し上乗せする」という落とし所が普及するならこれは有意義なことといえます。

今回の判決は、一見すると同一労働同一賃金の流れを止める動きのように見えますが、判決では個別の事情にもよる要素が大きいことが指摘されており、同様の案件でもう一度訴訟があった場合にも必ず「退職金は払わずともよい」となるわけではありません。

ところで、この問題が動くと、国民の老後の安定には大きく寄与します。日本では特に退職金・企業年金の有無が老後資産形成のカギとなっており、「老後に2000万円」問題の多くは退職金が解決している現状があります。

「老後2000万円」問題は退職金の有無で大きく変わる photo/iStock
 

非正規で働いていた人も退職時に退職金が出れば、将来の経済的安心を確保することになるでしょう。現実として非正規雇用の割合は大きいため、こうした人の多くに、たとえ数百万円であっても老後の軍資金が手に入ることは大きな変化です。

一方で、会社は「人事制度」の問題として、正社員と非正規の違いは何かを、もう一度考え直す必要があります。同一労働同一賃金の取り組みは、「便利に非正規を使う」ということを徐々に許さなくしてきました。

低賃金で働かせることができる、相対的にパートやバイトのほうが人件費を削りやすい(勤務時間を都合よく減らすなど)、辞めさせやすいといった「雇用の調整弁」として、いつまでも非正規を便利に利用することは許されないわけです。