「納采の議」延期の発表から2年が過ぎ、眞子内親王が発表した手記が話題だ。今の心境を率直に語った文章は500字足らずの短いものであるが、この間の二人の様子や、変わらぬ結婚への思いを知るには十分な内容だ。
いまさら説明する必要もないだろうが、眞子内親王と小室氏は2017年9月に婚約内定を発表したが、小室氏の母親と元婚約者間で生じたとされる「金銭トラブル」について報道が過熱した結果、父である秋篠宮は小室氏側に「それ相応の対応」を求め、「多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、私たちは納采の儀を行うことはできません」とした。
そもそも小室氏との結婚が眞子内親王の安定した生活や幸せにつながるものなのか、親目線での心配が国民の中にも湧き上がった。眞子内親王はこの手記で、そうした声を認識していることについても言及している。
日本国憲法24条により、婚姻は両性の合意のみによって成立する。家族に反対されようが、二人の意思があれば結婚できるのだ。しかし皇族の結婚手続きには戸籍がないことも含めて一般国民とは別の一手間がいる。
また、皇族費に加えて、結婚に際しては一時金が支給されるため、皇族の結婚は常に国民を意識せざるをえない。眞子内親王はこうした自らの公人としての自覚があることをアピールしつつ、「しかし」と逆説の接続詞を使って前後の文を繋げる。
衝撃的な内容だ。やんわりとオブラートに包んだ表現をしているようで、その実、この結婚は命がけだと言っているのだ。もはや「結婚する」「しない」の二択の段階ではなく、「この道しかない」という一択。
否定的な声があったとしても、この結婚は自らの生存権をかけた戦いである。否定していた人も、ここまで言われたら黙らざるを得ない「圧」がある。
この問題への世論の潮目を変えるだけの文章力。そこには眞子内親王の賢さとともに、駆け引き戦略も垣間見える。