彼と同じような家庭を作りたい

もちろん、彼は結婚しており、葉子さんより年上の娘が2人いた。
「お嬢さん2人とも、名門大学を卒業し、海外企業で働いていました。20年前の日本ですよ。住む世界が自分とは天と地ほど違いました。私も彼と同じような家庭を作り、人生を歩んでいきたかった。なのに、地方で親や世間体を気にして生きてきた。それがどうしてもイヤでした」

交際がスタートしてから、都心のオートロック付きのマンションに引っ越す。家賃は15万円。彼が5万円分を出してくれた。
「20歳から26歳までの6年間を彼と共に過ごしました。彼という庇護者でありメンターがいたから、私はキャリアアップすることもできたんだと思います」

35歳年上の上司との不倫関係をずっと続けていたのに、葉子さんは「結婚」を強く考えるようになった。そのきっかけは、彼と海外旅行に行ったときのことだった。
「韓国、バリ、台湾に行きましたが、彼は帰りの空港で、奥さんに必ずプレゼントを買うんです。40万円の時計や、50万円のネックレスをポンと購入するんですよ」

パリでも台湾でも韓国でも、不倫相手は妻のために必ず素敵なお土産を買っていた Photo by iStock

妻について聞くと、地方出身で彼と大学で出会い、貧乏時代を共にして、2人の娘を産み育てた女性だという。

「私の頭の中では勝手に、都心育ちのわがままなお嬢様だと思っていたんです。奥さんとの経緯を聞いたときに、負けたな、これは敵わないなと思いました」

彼と別れたのは、彼が61歳のときのこと。彼にがんが見つかった。
「“これからは妻と生きる。本当に今までありがとう。楽しい後半生だった”と言われて。彼も私もボロ泣きしてしまった。後日、200万円振り込みがありました。手切れ金ってことですよね。こういうとき、不倫の関係は弱いんだな、と再び実感しました」