大腸がんを発症。治療のため、会社を退職して…
田村芳太郎さん(仮名・45歳)は、昨年、大腸がん告知を受け、現在も薬物療法を継続中である。
田村さんは、大腸がんを発症した当時、食品卸売会社の営業マンとして勤務しており、年収は600万円。しかし、手術後の体調が思わしくなく、なかなか復職できず、今年に入って会社を退職せざるを得なかった。
現在は、傷病手当金と妻(39歳)のパート収入(年間80万円)、預貯金を取り崩して生活している。

給料の3分の2程度の額とはいえ、収入源がほぼない今、定期的に受け取れる健康保険の傷病手当金はありがたかった。
ただ、傷病手当金が受給できるのは、受給開始から最長1年6カ月まで。退職時点では1年分ほど受給しており、まだ半年ほど残っている。退職後も要件を満たせば、継続して受給可能だが、雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)とは併給できない。そもそも、傷病手当金は「病気やケガで働けない人のため」、基本手当は「働く意思も能力もある人のため」というように、両者の目的が相反しているからだ。
これを知った田村さんは、まだ治療中で再就職する体力や気力もないことだし、傷病手当金を受給期間が終了してから、再就職するつもりで離職後ハローワークに行き、受給資格期間の延長の手続きをした。
こうしておけば、原則として離職日の翌日から1年の受給期間が最長4年まで延長することができる。