元キャスターでジャーナリストとして活躍する秋尾沙戸子さんが長く暮らした東京から京都に移り住んだのは2012年末のこと。海外にも長く滞在した秋尾さんが、京都に身を置くことで真の日本の良さを知らなかった事実に直面したといいます。
そして、その秋尾さんを「京都の師匠」と仰ぐ漫画家の東村アキコさんのおふたりの連載「アキオとアキコの京都女磨き」がスタート。秋尾さんの文章と東村アキコさんのイラストでお届けします!

こちらの記事では、連載初回記念として2本同時公開する前編でも触れた「火焚祭」の詳細をお伝え。そして見えてきた意外な真実とは……。

「火焚祭」とは

老若男女の心をつかんで世間を賑わしている『鬼滅の刃』。アニメを見た私は火焚祭を連想した、と前回書いた。「ヒノカミ様に舞を捧げてお祈りするのよ」というセリフに、細胞が反応したからだ。

『鬼滅の刃』のヒノカミが誰かは別として、しかし、「火を焚いて神楽を捧げる」神事は、11月の京都で目の当りにできる。「御火焚(=火焚祭)」がそこかしこで斎行されるのである。ただし、神楽を伴う「御火焚」となれば、限定的だ。そこで、今回は大きな火焚祭に絞って、それがどんな形で行われるのか、具体的に紹介したい。

現在、日本で大きな火焚祭を斎行するのは、伏見稲荷大社である。毎年11月8日、全国から寄せられた10万本以上の火焚串が一斉に焚かれる。もしも自分の家の近くか旅先のお稲荷さん境内で棒に願い事を書いたことがあるとすれば、その棒こそ火焚串だ。伏見稲荷大社では、直接参拝しなくても、全国から事前に申し込むことができる。

  伏見稲荷大社の「火焚祭」。大きな火床のなかに火焚串が投げ込まれる 撮影/秋尾沙戸子

伏見稲荷大社の創建は和銅4年。御鎮座から1300年以上となる伏見稲荷大社は、近くにある東寺の守り神でもある。新幹線や近鉄電車から見える五重塔。あの塔を有するのが東寺だ。もとは平安京を護るお寺として建てられ、嵯峨天皇により空海に下賜された真言密教のお寺である。そこからほど近い稲荷山は、山伏たちの修験の場でもあった。