中国に「日本のブランド農産物」が流出している…今こそ種苗法を改正すべき理由

中には支離滅裂すぎるヤバい反対論も…
山口 亮子 プロフィール

中国では日本の種苗法改正について、改正案の提出前後から、ちらほらと報じられている。ネット上には「日本に新品種を取りに行く時代は終わった」という記事も現れた。しかしすでに種苗流出による被害は大きく、このタイミングでの改正は、むしろ遅きに失した感すらある。

反対派のひどすぎる事実誤認

このように今回の法改正は、農業関係者の利益を守る順当なものだ。しかしそれでもなお根強い反対論は、誤解に基づくものが多い。

最も極端な反対論は、「日本の農業が海外のバイオメジャー(バイエル、ダウ・デュポンなど種苗や農薬を販売する大企業)に乗っ取られる」「遺伝子組み換え食品しか食べられなくなる」といった主張だろう。この主張は、「改正によって、バイオメジャーが日本の既存の品種を自社で開発したものとして登録できるようになる」という支離滅裂な認識に基づくうえ、日本農業の位置づけを見誤っている。

ドイツにあるバイエル社本社[Photo by gettyimages]
 

遺伝子組み換えが盛んに行われる大豆、トウモロコシはいずれも、輸入の比率が高い。大豆の自給率は2割、トウモロコシに至っては1%にも満たない。日本国内のわずかな市場を狙って、バイオメジャーが日本の栽培環境に適した遺伝子組み換え品種を開発するのか、はなはだ疑問だ。

自給率が100%に近いコメにしても、バイオメジャーがわざわざ生産量で中国に見劣りする日本のコメ市場を占領しようとするとは、考えにくい。両国のコメ栽培の規模を比較すると、「中国のどこかの省が増産の号令をかければ、日本の総生産量分くらいは、すぐ増える」(中国通の農業関係者)という感じだ。中国のジャポニカ米の生産量は日本の6倍以上ある。中国でジャポニカ米の消費が増える一方で、日本は減り続けているから、差は開く一方だ。