ダチョウ俱楽部[Photo by gettyimages]

ダチョウ俱楽部「押すなよ!絶対に押すなよ!」とAI研究の意外な関係

「押すなよ!」は「押せ」の合図
スマートスピーカーや音声入力など、人間の言葉を認識できる機械の発展は目覚ましい。しかし本当の意味で「人間の言葉を理解しコミュニケーションできる」AIは発明されるのだろうか。言語と人工知能に関する著作で有名な川添愛氏の新刊『ヒトの言葉 機械の言葉』から、あの有名なお笑いトリオの「お約束」について、一部編集のうえ紹介する。
 

コミュニケーションは意外に難しい

言葉とは何かと問われたとき、多くの人は「コミュニケーションのための道具」と答えるでしょう。「言葉の意味が分かり、言葉を適切に使えること」と「他者とのコミュニケーションができること」を同一視している人も多いかもしれません。言葉を扱うAIを開発する上でも、「人間と適切にコミュニケーションを取れるようにすること」が大きな目的になっています。

しかし、他者とのコミュニケーションを可能にしているのはどのような能力なのでしょうか? 『ヒトの言葉 機械の言葉』の第二章や第三章で見るような「単語の意味や文法についての知識」、つまり「言葉そのものについての知識」さえあれば、人間も機械も他者とうまくコミュニケーションを取れるのでしょうか?

実は、私たち人間は「言葉そのものについての知識」だけでなく、多様な知識を考慮に入れながら他者とコミュニケーションを取っています。つまりコミュニケーションがうまくいくためには、言語以外の情報も適切に扱えなければなりません。

人間の行うコミュニケーションについて考えれば考えるほど、私たちが互いの言うことを理解できるのが不思議で、奇跡的なことに思えてきます。以下では、コミュニケーションが成り立つためのさまざまな条件について見ていきましょう。