バイデンの民主党は歴史的敗北を喫した―米政治主流派の破産と凋落

大統領選の勝者は左派とトランプ主義だ
会田 弘継 プロフィール

格差、分断の作り出す側としてのバイデン

今回、バイデンの大統領選勝利が伝えられると、オバマ政権の副大統領となるまで36年に及ぶ長い上院議員時代に共和党との融和を図った中道派、政敵とも妥協を探れる人といった肯定的評価が溢れている。

だが、融和・妥協の中身を考えてみるといい。経済ではネオリベラル政策、内政では犯罪対策強化と弱者を置いてきぼりにして、挙げ句はちょっとした犯罪で牢屋にぶち込むような政策を、共和党主流派と一緒に進めてきたのがバイデンだ。それが「融和」の正体だ。

そのニューデモクラットの共和党と組んだネオリベ政策の典型が、クリントン政権によるグラス・スティーガル法の廃止だ。

同法は、1929年のニューヨーク株式大暴落とその後の大恐慌への反省から、ニューディール政策の一環として銀行・証券分離を定めた。それをうっちゃってウォール街のやりたい放題、IT技術を駆使した金融工学でデリバティヴのバブルを生み出し、とどのつまりが2008年のリーマン危機である。

この間、民主党はIT業界、ウォール街と癒着し、たんまりと甘い汁と吸ってきた。次の金ヅルである環境産業とも結びつき、その宣伝塔ゴア元副大統領のように巨万の富を築いた者までいる。

製造業や石炭・石油の旧エネルギー産業の衰退で職を失った挙げ句に、サブプライムローンが返済できなくなって、借金まみれでマイホームを取り上げられて路頭に迷った人々(主に労働者)が、民主党主流ばかりか、気候変動の「科学」も信じられなくなってトランプかサンダース、あるいはAOCにしがみつきたくなるのは、もっともだ。

彼らは「グリーン・ニューディール」の「グリーン」に期待しているのではない。「ニューディール」を待っているのだ。それなのに、選挙中、バイデンを担ぐ「中道派」はAOCらに「グリーン・ニューディール」を強調するな、「M4A」(国民皆保険)を言いまくるな、と庶民よりも金持ちや大企業を向いたことばかり言い、左派を怒らせた。

「中道」バイデンのネオリベ的社会政策への「貢献」は1994年暴力犯罪取締法、通称バイデン法だ。

史上最大の犯罪取締法ともいわれ、銃規制なども進めたが、基本は「犯罪厳罰主義(tough-on-crime)」。警官によるフロイドさん殺害事件をきっかけに「制度的人種差別」論議の焦点の一つとなった大量投獄問題をつくる大きな要因となった。死刑も増大した。

 

ブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動は、大量投獄を抗議の前面に出したが、それを生み出した張本人を大統領選で支持することになったわけだ。