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32名が犠牲に…バス爆発事故を引き起こしたのは「映画のフィルム」だった

「国鉄バス火災事故」の教訓

フィルムが持ち込み禁止?

コロナの影響で乗客数が大幅に減少している路線バス。寿司詰めだった路線も最近は比較的余裕が増え、毎朝重い荷物を持って乗車するのが億劫だった人も、少し気持ちが楽になったかもしれない。

バスに持ち込める物品の種類は、「旅客自動車運送事業運輸規則」によって決められている。2019年にカッターやナイフなどの刃物類持ち込み禁止が追加されたほか、「500グラムを超えるマッチ」「高圧ガス」など、常識的に考えてみればそうだろう、という物品が並ぶ。なかには「死体」という項目もある。

その中で「100グラムを超えるフィルムその他のセルロイド類」の持ち込みが禁止されているのだ。なぜあのフィルムが?目を疑うところだが、この背景には忘れてはいけない「教訓」があるのだ。

 

1951年11月3日、その事故は愛媛県・東宇和で起こった。この地域では多くの地区で秋祭りが開かれ、子供からお年寄りまで多くの人で賑わい、お祭りに向かう客でバスは混雑していた。

午前8時5分に出発した、野村発大洲行きのロマンスシート型国鉄バスは、40人程度の定員に62人が乗車するごった返しよう。晴れ着姿の女性や子供も多く乗車していたとみられる。

途中で通過する貝吹村では、まさに秋祭りが行われており、乗客はそれを楽しみに向かっていた。ところが、8時25分ごろ、車内の前方から突然火の手が上がったのである。

超満員の車内に、瞬く間に広がる火の手。地元消防団や警察の救助も空しく、死者32人、重傷者7人を出す大惨事となった。