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ベートーヴェン「幻の第10交響曲」をAIが完成させたらしいが…

フルオケ演奏会再延期で再び幻に

生誕250年記念の企画として

ベートーヴェンは第10交響曲を書き始めていたらしいが、そのような話は寡聞にして知らず。曲がりなりにも音楽を勉強した者としてあるまじきことと思い、現役の音楽家である友人に尋ねてみたら、彼女も知らなかったと言うので少し安堵した。

調べてみると、実際に残っているのは断片だけで、どの断片も尻切れとんぼ。未完交響曲と言えるほどの規模には至っていないという。つまり、ベートーヴェンがこの断片からどんな曲を作り上げようとしていたかは、永遠の謎なのだ。

ところが、それをAIの助けを使って完成させようという大胆不敵なプロジェクトが進められている。手掛けたのは、オーストリアの音楽制作会社で、その代表者であるヴァルター・ヴェルツォヴァ氏は自称作曲家でもある。ちなみに、彼の作品で一番有名なのが、ITメーカー、インテルのために作曲した4秒間のメロディ。これが世界を股にかけた大ヒットとなった。

ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェンは1770年にドイツのボンで生まれた。クラシック音楽の世界では、間違いなくバッハと並んで最高峰を占めている。これまで、世界でその作品が一番多く演奏された音楽家でもある。

昔は、髪の毛がボサボサで厳しい顔つきの肖像画が、よく学校の音楽室などに飾ってあったから、ある一定の年齢以上の人なら、音楽に興味がなくてもベートーヴェンの顔は知っているだろう。彼の合唱付きの交響曲「第9」は、今ではEUの「国歌」となっている。

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今年は生誕250年ということで、一年を通して、世界のあちこちで記念のコンサートや展覧会などが数多く計画されていた。中でも生誕地ボンでは、2016年に公益財団法人「ベートーヴェン記念有限会社」が立ち上げられ、これまで4年の年月をかけて様々なイベントの準備が進められてきた。その企画の一つが、第10交響曲のフルオーケストラでの演奏会だった。

最初の計画ではお披露目演奏会は4月だったが、コロナのロックダウンで11月15日に延期され、いよいよ間近と期待が高まっていたところ、11月2日からドイツ全土に再び4週間のロックダウンが掛かり、公演は不可能となった。

その結果、今年、計画されていた他のほとんどの企画とともに、2021年に延期が決まったものの、具体的な日程は未定のままだ。ひょっとすると、音楽会や展覧会の一部は、オンラインで配信などということになるかもしれない。

 

ただ、現在のドイツでは、オーケストラが観客なしで録音する場合でも人数制限が敷かれているため、大きな編成は組めない。第10交響曲のフルオーケストラがどのような編成になるのかは知らないが、コロナが音楽界と音楽ファンに与えているダメージはとても大きい。