家族介護と社会的介護

自宅での家族介護には限界があることから創設された介護保険制度では、要介護と認定されると、施設サービス、居宅サービスなどを受けることができる(サービス料金の1割を負担)。

このケースでは、祖母は居宅サービスを受けている。居宅サービスには、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護などヘルパー等が居宅を訪問するサービスと、特別養護老人ホームなど介護施設に日帰りで通って入浴やリハビリなどのサービスを受ける通所介護(デイケア)や短期入所(ショートステイ)がある。

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また、地域密着型サービスとして、定期巡回訪問介護、夜間対応訪問介護、認知症対応の共同生活介護などがあり、主として地域包括支援センターが対応する。在宅の場合には、特定の家族が介護を一手に引き受けるのではなく、同居していない家族の協力など家族の中で分担し、他方、居宅サービスや地域密着型サービスを積極的に活用し、ケアマネのアドバイスなども受け、家族と専門家のいわばチームで対応することができる。

チームであれば、介護者の苦心、悩みなども相談、共有化でき、またメンバーの交替なども可能であり、離職や自身の健康不安などを防ぐことができる。これらを利用する場合には、ケアマネージャー(介護支援専門員、ケアマネ)と利用者との間でサービス計画(ケアプラン)を作成する。

今回の事件では、祖母が認知症のため、子らがケアマネと相談した。ケアマネは祖母の入院を勧めたが、叔母らは拒否した。女性は7年ぶりに祖母と同居し、介護を始めたが、2週間で女性は限界を感じ、介護は無理かもしれないと父と叔母に伝えた。しかし、叔母に「それくらいコントロールできるだろう」と言われ、また、女性に担当のケアマネと連絡を取ることを禁じたため、女性はデイサービス以外の利用についてケアマネと相談することすらできなかった。

家族と専門家のチーム対応ができず、父や叔母らの協力もなく、女性を孤立させた結果、祖母を殺めるという最悪の結果を招いた。女性は一生この重荷を背負うことになるだろう。