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オードリー・タンが「日本のハンコ問題はハンコの話ではない」と言う理由

オードリー・タン 自由への手紙(13)
オードリー・タン。
新型コロナウィルスが蔓延する台湾で、マスク在庫がリアルタイムで確認できるアプリ「マスクマップ」を開発し、その対応が絶賛されたことで名前を知った人も多いことだろう。
彼女(氏によれば「性別なし」なのだが、
ここでは便宜的にそう呼ばせていただく)は2016年、35歳という若さで蔡英文政権に入閣、デジタル担当政務委員(大臣)に就任。
そんな彼女が語った、このデジタル時代に「自由になる」ということ、貴重なインタビューを『オードリー・タン 自由への手紙』よりお届け。第13回は「スキルセットから自由になる」。>今までの連載はこちら!
 

スキルセットから自由になる

「それの何がいけないんですか?」

インタビューの中で、「今後、人間の仕事はAIやロボットに取って代わられるのではないかと危惧する人々がたくさんいる」と聞き、私は反射的にこう答えました。

オードリー・タン氏

「工業先進国では少子高齢化が進んでいる」

「人々はどんどん年老いていき、労働力のような無形資源を得ようとする競争も増えている」

こうした議論が盛んになされていることは知っています。

AIが怖くない2つの理由

私はAIが脅威であるという論調については懐疑的です。

労働力には限界があり、有限なものなのだという見方は疑わしいとも思います。シンプルに、世界の労働力に限りがあるとは考えていません。

それには2つの理由があります。

1.テクノロジーで労働力を補うことができる
2.テクノロジーは認知労働も供給しうる

順番に説明しましょう。

労働力が足りない――つまり労働の「量」が欲しいというとき、工業ロボットの助けがあればどうでしょう? 人を集め、働き続けてもらうのは大変なことでも、ロボットであればあっという間に何台も確保できます。

繰り返しの単純な構造の労働については、人間が行っているほとんどの労働は自動化できます。そして実際に、世界中でありとあらゆる機能が自動化に向かっています。

つまり第一の理由、「テクノロジーで労働力は補える」というのはすでに現実化していることです。