"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
1852年の今日(12月19日)、物理学者のアルバート・アブラハム・マイケルソン(Albert Abraham Michelson, 1852-1931)が誕生しました。
マイケルソンは「干渉計の考案とそれによる分光学およびメートル原器に関する研究」で1907年にノーベル物理学賞を受賞し、 アメリカ人初のノーベル賞受賞者となった人物です。
1852年12月19日にプロイセン王国で誕生したマイケルソンは幼い頃にアメリカに移住するとそこで海軍兵学校に入りました。
卒業後は同校の物理教師として働きながらもフランスやドイツへ留学、ヘルムホルツらに師事しました。留学から戻ってからはシカゴ大学などいくつかの大学で物理教師として働きました。
マイケルソンは生涯、光学、特に光速の精密測定を研究しましたが、彼の功績として特に有名なのが1881年の「マイケルソン・モーリーの実験」です。
当時の物理学において、光はエーテルという物質によって伝えられると考えられていました。
「マイケルソン・モーリーの実験」は実験装置がエーテルに対して静止している場合と運動している場合の光の速度の差を測定することで、絶対静止のエーテルに対する地球の相対運動を検出するというものですこの実験は、マイケルソンが自作した精密な測定器具を用いることで可能になりました。
しかし、精密な実験の結果光はどの方向に対しても同様な速度で進むという結果となり、当時想定されていたエーテルに対する疑問が生まれることとなりました。
この結果はかのアインシュタインによる「特殊相対性理論」を生むきっかけともなっています。また、1887年には同じくアメリカの物理学者であるエドワード・モーリー(Edward Williams Morley, 1838-1923) が同様の実験を行なっています。
関連の日:4月17日 アメリカの物理学者E・W・モーリーが光の実験を開始(1887年)
そのほかにもマイケルソンはカドミウムの赤線の波長の精密測定や天体の直径の測定などの業績で知られています。
また、彼の製作したマイケルソン干渉計はそれ自体が学術的に重要な功績であり、200年以上経った現在でも重力波干渉計などに応用されています。彼のノーベル賞受賞はこの干渉計の製作などが理由の一つです。