「意見を言うためには日本国籍を…」
大都市法は投票要件について、公職選挙法を準用すると規定しており、これによって住民投票の有権者は「日本国籍を持つ18歳以上の大阪市民」に限られた。つまり約15万人もの外国籍を持つ大阪市民はあらかじめ、「大阪都構想」の住民投票から排除されていたわけである。
これに対し、前回(15年)の住民投票で、外国籍市民が住民投票から排除されていたことに疑問を持った大阪市民の小野潤子氏が発起人となって昨年10月、日本国籍、外国籍の市民が共に「みんじゅう(みんなで住民投票)」(http://minnadetohyo.info/)を立ち上げた。
呼びかけ人や賛同人を募り、呼びかけ人には、劇作家の平田オリザ氏や「カトリック・フランシスコ会」司祭の本田哲郎氏、ミュージシャンの中川敬氏や弁護士の仲岡しゅん氏らが名を連ね、賛同人には国籍や性、生業も様々な約40人が加わった。
「みんじゅう」は、昨年12月と今年6月の二度にわたって、「大阪市廃止・特別区設置住民投票」に外国籍住民も投票できるよう、大都市法の改正を求める請願を国会に提出。二度目は、これまでに集まった3万人超の署名を携え、請願を行なったが、いずれも審査未了で事実上の廃案になった。

また、昨年11月には大阪市議会に大都市令の改正を求める陳情を行ったが、この「みんじゅう」の陳情について、記者から問われた松井市長は、こうコメントした。
「意見を言うためには、是非、日本国籍を取得してもらいたい」
さらに今年2月にも、記者から同様の質問を受けた松井市長は、こう答えたのである。
「帰化して(日本)国籍を取得し(住民投票に)参加して欲しい」
これらの松井市長の発言を知った時、私はつくづく、こう思った。「総じて人権感覚に乏しい『維新』の政治家らしいな」と。だが、すべての住民に奉仕する存在である地方自治体の長の発言としては、決して許されるものではない。