# 日本経済

最低賃金の「引き上げ」で、じつは日本が“米国並み”の「超・格差社会」になる!

菅政権が語っていないこと
中原 圭介 プロフィール

「生産性」は危ない

さらに付け加えれば、私も現状でどうにもならない企業は潰れても仕方がないと考えていますが、最低賃金を上げ過ぎると潰れなくてもいい企業までもが潰れてしまうという弊害があります。競争力のある健全な企業までもが、淘汰の波に巻き込まれてしまうというのは、由々しき問題です。

最低賃金の引き上げに反対する識者は、私も含めてほとんどいないと思います。ただ、私が警鐘を鳴らしたいのは、経済成長を大幅に上回るペースで最低賃金を引き上げてしまうと、副作用のほうが大きくなってしまうということです。

最低賃金の引き上げペースを加速するといえば、低所得者層はみな喜んで期待することになるでしょう。しかし、引き上げのペースを上げ過ぎると、救済されると思っていた低賃金の人々が真っ先に解雇されてしまうというパラドックスを考えてもらいたいのです。

これでは最低賃金の引き上げが、経済・社会にとって期待できる政策ではなくなってしまいます。最も社会が救済しなければならない低賃金の人々をかえって苦しめ、格差拡大を推し進める原動力になってしまうというわけです。

格差が広がる photo/iStock
 

最低賃金の大幅な引き上げが賛同されるのは、日本の現状をしっかりと把握することなく、生産性が低いという数字だけを見てしまっているからです。その数字の背景には、それぞれの国々によって生活様式や価値観、文化、税制、社会保障などに違いがあり、一概に並べて比較するのが適当であるとはいえないのです。

そこで注目しなければならないのは、各国の人々の生活水準はどうなのか、人々はその生活水準に満足しているのか、生活が苦しい人々の割合はどのくらいなのか、ということです。

また、日本人と比べてアメリカ人が豊かな暮らしをしているのかといったことにも目を向ける必要があります。そうすれば、生産性という数字を引き上げるためだけに、何を犠牲にしなければならないか理解ができると思います。