# 日本経済

最低賃金の「引き上げ」で、じつは日本が“米国並み”の「超・格差社会」になる!

菅政権が語っていないこと
中原 圭介 プロフィール

リスクが高すぎる

たとえば、最低賃金を毎年5%ずつ引き上げていくと、5年で1.28倍に、10年で1.63倍になります。ということは、現在の最低賃金(全国平均902円)は3年目に1000円を突破し、5年目に1100円、10年目に1400円を超えます。

その帰結として、地方でアルバイトやパートで成り立っている零細企業の大半は、雇用を保って赤字経営が慢性化するか、雇用を削って縮小均衡を図るか、倒産・廃業をするか、主に3つの選択を迫られることになります。

たしかに、デジタル化の投資などで生産性を上げる体力がある企業は生き残れるかもしれませんが、大半の零細企業は淘汰される可能性が高いでしょう。

その時に真っ先に失業に追い込まれるのは、低賃金だからこそ仕事にありつける、特別なスキルを持たない人々です。最低賃金の無理な引き上げは、最も社会が助けなければならない人々をさらなる窮地に陥らせてしまうわけです。

 

そもそも最低賃金が低いから成り立っているような企業に対して、生産性が低いゾンビ企業と一律にみなすのは、非常に浅はかな考えです。低賃金の労働に支えられる企業のなかには、デジタル化や自動化が難しいうえに、私たちの生活に欠かせないサービスを提供するものも多いのです。

そういったサービスが最低賃金の大幅な引き上げによって失われるようなことになれば、それは経済的にも社会的にも大きな損失です。企業が淘汰されるか否かは、消費者の動向が決めるべきであり、政府が最低賃金の大幅な引き上げによって基準を決めるというのは正しいといえるのでしょうか。