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【台湾初トランスジェンダーの大臣】オードリー・タン「愛する対象はホモサピエンス」と公言するワケ

オードリー・タン 自由への手紙(7)
オードリー・タン。
新型コロナウィルスが蔓延する台湾で、マスク在庫がリアルタイムで確認できるアプリ「マスクマップ」を開発し、その対応が絶賛されたことで名前を知った人も多いことだろう。
彼女(
 氏によれば「性別なし」なのだが、ここでは便宜的にそう呼ばせていただく)は2016年、35歳という若さで蔡英文政権に入閣、デジタル担当政務委員(大臣)に就任。
そんな彼女が語った、このデジタル時代に「自由になる」ということ、貴重なインタビューを『オードリー・タン 自由への手紙』よりお届け。第7回は「男と女から自由になる」。>今までの連載はこちら!

男と女から自由になる

私には、思春期が2回ありました。

最初の思春期が訪れたのは14歳のとき。思春期とは「第二次性徴があらわれる時期」とされていて、それが主にテストステロン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)の働きであることは、よく知られています。

オードリー・タン氏 Photo: I-Hwa Cheng / The New York Times

それなのに、14歳の私の体の中で、テストステロンのレベルが高まることはありませんでした。

「80歳の老人並み」「女性と思春期男子の中間ぐらい」

これが検査医の見解でした。

2度目の思春期は24歳のとき。ホルモン剤を服用し、女性として思春期入りすることを自分で決めたときで、それは2年ほど続きました。

こうして2回の思春期を経験したのち、「男か女か」という二者択一的な考え方が、私の中から消えました。

「女である」と自分をとらえている人は、社会の半分は、自分と異なるものだと思うことがあるでしょう。

「男である」と自分をとらえている人も、社会の半分の人々を、自分とは別の人たちだと思っているかもしれません。

 

しかし私の場合、「社会の半分は自分とは異なるものだ」という感覚がありません。

むしろ、交差的な体験をしたことで、社会のほぼ全員と同じ経験を共有しているような気がしています。