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微生物の世界に新しい「門」が誕生! 砂漠で見つけた超すごいやつ

この新門の仲間たちから目が離せない!

サハラの砂の中から見つかった「やつ」

その小さな「やつ」は、サハラ砂漠の東の端、チュニジア南部の小さな町マトマタから見つかった。もしあなたが『スター・ウォーズ』のファンなら、マトマタがそのロケ地であり、ルーク・スカイウォーカーの家があるのを思い出すかもしれない。

さておき、マトマタで採った砂の中から見つかった「やつ」の体長は幅0.0006ミリメートルほど、長さはいろいろ変わるのだが、時に0.03ミリメートルを超える。のちにすごい新種となる「やつ」は、とっても小さいので僕たちの肉眼にはまったく見えない(写真1)。フォースの源たるミディ=クロリアン(知性をもつ小さな生命体)が見えないのと同じように。

写真1:サハラ砂漠の砂から見つけた「やつ」の顕微鏡写真。わさわさと増えたところを撮影。黒色の線の長さが0.01ミリメートルなので、とっても小さい。僕たちの肉眼では決して見えない。(画像:中井亮佑・西島美由紀・長沼毅)

そう、砂漠の「やつ」は微生物の仲間である細菌(バクテリア)だ。細菌はサイズが小さいので、見た目だけでそれが何者かを知るのは不可能である。

当時、僕たちは、探偵のごとくDNA情報などさまざまなデータを積みあげ、ほかの微生物たちのものと比べてみた。すると、砂漠の「やつ」が既存の分類群のどれにも当てはまらず、「綱」レベルで新しい微生物である可能性が出てきた。

新「綱」の微生物。こう言うと、「その微生物は何やら硬そうですね!」とよく言われるのだが、その漢字は鋼(はがね)ではない。綱(こう)である。

では、その「綱」って何だ?

生物の分類は、上の階級から界、門、綱、目、科、属、種に分けられる。僕たちヒトでいえば、動物界、脊索動物門、哺乳綱、サル目、ヒト科、ヒト属、ヒトとなり、綱のレベルは哺乳綱(つまり哺乳類)に当てはまる。

これを見ると、「綱」がいかに高い階級にあるかが一目瞭然! 動物と微生物の分類を単純には比べられないけれど、もしそれが許されるなら、砂漠の「やつ」は、哺乳類に相当するほどの高いレベルで新しい分類群をつくる、ということである。

そこで僕たちはさらにデータを集め、その「やつ」をオリゴフレクスス・チュニジエンシス(Oligoflexus tunisiensis)と名づけるともに、これにちなんだ新しい綱のオリゴフレキシア綱(Oligoflexia)を提案した*1。今からさかのぼること2014年の出来事である。

すごい新種となったオリゴフレクススをはじめて飼うことに成功してから4年が経った頃だ。