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人生設計をも狂わせかねない?認可保育園の弱点「不自由さ」に目を向けよ

「保活」地獄に飲み込まれないために
大原 みはる プロフィール

登園は大変ではない?

ところが認可外保育園であれば、毎日の登降園上の支障さえなければ、住む自治体が変わってもそのまま通わせることが可能だ。もちろん、引っ越す以上、新居と保育園は物理的には離れるので、登降園時に子どもを何駅か電車に乗せなければいけなくなる。

だが。もともと駅近の保育園なので、登降園のタイムロスは、自転車で片道10分かけて通わせることも少なくない認可保育園とさほど変わらない。また、今は認可外保育園でも保育無償化の恩恵で月3万7000円までは行政から補助されるので、3歳児以上なら金銭的負担もほとんどない。

 

こうした点から筆者の知り合いは、不確定要素の多すぎる引越先での保活を行わず、引越後も同じ保育園に通わせ続けることを選択した。

この話を聞いて、そんなレアケースを紹介してどうするのか、と感じた読者がほとんどかもしれない。いや、レアケースなのはむしろ当然である。わが国では、住民にはなるべく保育サービスを選ばせず、地元行政が差配するのを原則とする方式を是としてきたからだ。

そもそも認可保育園に比べて、ある程度自由に施設(立地と保育サービス)を選べる認可外保育園は、認可保育園至上主義下で異端として扱われ、その存在自体が、相対的に少数なのだ。

冒頭で紹介した拙稿「『認可外保育園退場論』がこのまま進めば、不自由・不平等が加速する」で筆者は、現在のまま認可外保育所に対する不当な扱いが続けば、遠くない将来、彼らは市場から退場を迫られかねないという危機感を伝えたが、その状況は現実のものになりつつある。

たとえば、かつて待機児童数日本一という不名誉な記録を持っていた横浜市は、1990年代後半から独自の認可外保育施設「横浜保育室」を制度化している。菅総理が横浜市議時代に導入を推進し、本人がかつて「私の一つの誇り」と語ったこともある、由緒ある仕組みであるが、子育て世代の認可保育園指向が相変わらず強い中、導入から四半世紀近くの間に、横浜市の方針もあって同施設は認可保育園への転換が進んだという。

その結果、市内に複数ある「横浜保育室」の総定員は最盛期の3割以下程度にまで縮小している。関係者の認識としては、社会的使命を終えつつある、という声すらあるらしい。