10分でわかる!ノーベル賞を受賞した「オークション理論」って何?

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川越 敏司 プロフィール

オークションでの販売収益を最大にするには

このようにさまざまなオークションがある中で、オークションでものを販売したいという人にとっては、どのようなオークション方式を使用すれば、その収益を最大にできるのか、ということが問題になります。

その答えを与えてくれるのが「収益同値定理」と呼ばれるものです。

この定理によれば、基本的な前提の下では、先に挙げたような「どのオークション方式を使用しても、落札価格の期待値は等しくなる」ということになります。つまり、販売者側はどんなオークション方式を使っても、実は平均的に受け取る金額は変わらない、ということなのです。これはオークション理論が明らかにした意外な事実ですが、こうした研究が今回のノーベル賞につながっていくわけです。

とくに今回のノーベル賞受賞で注目されているものの1つが「勝者の呪い」と呼ばれる現象です。

例えば、ネットのオークションでは、ある商品は人気があって購入希望者がたくさんいるけれど、別の商品は人気がなくて購入希望者があまりいない、という場合があります。それは、これらの商品の価値は人によって様々だからです。

しかし、オークションで販売される商品の中には、誰にとっても価値が等しいというものもあります。代表的な例としては、油田の採掘権があります。油田を手に入れられたら、誰でも大金持ちになれますから、人によって価値が違うということは考えにくいと思います。

油田の本当の価値は掘ってみるまでわからない Photo by krblokhin/iStock

でも、油田は掘ってみるまでは、どのくらいの埋蔵量があるかわからないので、その価値には不確実性があります。いま、油田採掘権を競って10億円で落札したとします。でも、掘ってみたら1000万円くらいの価値しかなかったら、大損ですね。これが「勝者の呪い」と呼ばれている現象です。

 

このように、油田採掘権のような誰にとっても価値が等しい商品を売り買いするオークションでは、価値以上の値段で落札する傾向があります。このことを理論的に証明して示したことが、今回のノーベル賞の授賞理由です。

もうひとつの授賞理由が、「電波オークション」「周波数オークション」と呼ばれるもののデザインに関することです。