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一人暮らしの母親を「近所の老人ホーム」に入れた息子が、大後悔したワケ

老後の住み替えは、若い頃のように何度も繰り返せるものではありません。体力にも経済力にも限界が見える高齢期に住まい選びを失敗すると、取り返しのつかない事態となってしまいます。

高齢者が自宅生活に不安を感じて高齢者住宅などに住み替えるとき、決め手となるのが子どもの意見。息子や娘が薦めてくれる、賛成してくれることは住まい選びの必須条件です。でも時として、子どもとして良かれと思った判断が大きな失敗を招くことも。3つの失敗を重ねた残念な例をご紹介します。

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どうしてそんなところに入りたいの?

兵庫県に住む、当時76歳の田所清治(仮名、以下同)さんは、妻の淑子さん(72歳)と二人暮らし。一人息子の忠司(42歳)さんは結婚して大阪市内に住んでいます。清治さん夫婦は、これから先の生活は息子に頼らず、要介護になっても面倒をかけずに済むようにと、夫婦二人が元気なうちに高齢者住宅に住み替えようと考えました。

そんななか、元気な高齢者が入居できる高齢者住宅の中でも、重度の介護や看取りまで可能で、最後まで安心して暮らせそうな「自立型の有料老人ホーム」を見つけました。入居一時金は一人あたり二人で3500万円、毎月の利用料は約30万円と、やや金額は高い気はしましたが、せっかく見つけた質のよさそうな施設なので、「ここに入居しようと思う」と息子の忠司さんに相談しました。

ところが、話を聞いた忠司さんはこう言いました。「お父さん、まだ二人ともこんなに元気なのに、どうしてそんなところに入りたいんだ?」。忠司さんからすると、高齢者住宅というのは「弱った高齢者が介護を受けるために入るところ=介護施設」だという認識しかなかったので、元気な両親がどうして入居したいと言うのか理解できなかったのです。高額な入居一時金が必要である点も含めて大反対。「そんなところに入るのなら、親子の縁を切る」とまで言い出しました。