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ソフトバンクも真っ青?「アント・グループ」史上最大IPO中止で露呈した「中国株投資」の落とし穴

「史上最大のIPO」が突然の延期となった。中国アリババ・グループ傘下のフィンテック企業アント・グループが予定していた上海・香港市場への同時上場が今月3日、中止が発表されたのだ。一体なぜ、このタイミングで?
米国の投資運用会社で働いた経験があり、『マネーの代理人たち』の著書もある小出・フィッシャー・美奈氏が、一般投資家には見づらい、中国企業を取り巻く政治的リスクをリポートする。

ソフトバンクグループ株が冴えない理由

「アントまあー!」「あーりまあ。。。」

ソフトバンクグループ(銘柄コード9984)株の掲示板には、個人投資家のため息まじりのダジャレが飛び出した。

香港と上海で5日に予定されていた「アント・グループ」のIPO(株式初公開)が、3日になって突如延期されたのだ。調達額見込みは4兆円規模で、昨年のサウジアラムコを抜き「史上最大のIPO」となるはずだった。これだけの規模のIPOが、公開予定の2日前という土壇場で延期されるのは前代未聞だ。

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アントは、アリババ(阿里巴巴)グループの金融会社で、アリババがアントの33%を保有し、そのアリババの約4分の1をソフトバンクGが保有する。上海や香港のIPOには日本の個人投資家はなかなか参加できないから、ソフトバンクGを保有することによって間接的にアント株を取り込もうとした投資家も多かった。

アントIPO延期で、ソフトバンクGの株はこの所冴えない。11月に入ってからの株価推移は、TOPIX指数を7%近く下回る(*11月4日現在)。

2日にアントの実質的な経営権を握るジャック・マー(馬雲)氏らが中国人民銀行(中国の中央銀行)を含めた4つの監督当局から聴取を受け、その結果として上海証券取引所から上場資格を満たしていないと判断されたという。

中国語メディアでは、これは習近平総書記が、ジャック・マー氏に本当のナンバーワンは誰かを見せつけたのだ、という解説も流れた。

政治リスクという中国投資特有の落とし穴が露呈した形だ。