「アトピーでも美肌なのね」の時代はきっと来る!

もうこのまま一生、心の中でグチりつつ、面倒なアトピーライフを続けるしかないんだよなあ、と思いながら、アレルギー専門医で、こどものアトピー性皮膚炎治療に詳しい東京慈恵会医科大学 葛飾区医療センター医師の堀向健太氏にお話を伺った。

「すでに成人しているアトピーの方は、長期の疾患で定着してしまった皮膚の色素沈着などもあります。それでも多くは改善させることができますよ。さらに言えば、子どものころから最新の標準治療とスキンケアを行うと見た目でアトピーだとはわからないほど、きれいな肌状態をキープすることができるくらい、アトピー治療は進化しています」(堀向氏)

治療薬も飛躍的に進化。最新の標準療法では、きれいな肌の状態を保てるという希望も。photo/Getty Images

治療法や薬が飛躍的に進化しているとすれば、将来、アトピー持ちでも、ステロイドどころか普段の面倒な保湿ケアも不要な時代は来るのだろうか。

「そこは、すぐにはなかなか難しいかもしれませんね。昔に比べ、私達を取り巻く環境は大きく変わりました。たとえば、都市化が進んだ今、昔に比べとても湿度が低くなっています。アトピー体質の人ではなくても、意識的に保湿ケアをしないと肌の水分量が十分に保てず、冬の時期に皮膚が乾燥しやすいように(※2) 、乾燥で肌のバリア機能が落ちて肌トラブルが起こりやすくなっているともいえるでしょう。

だから、症状が出ていなくても、もともと皮膚のバリアが弱いアトピー性皮膚炎の人が、保湿ケアを一切やめてしまうと、ちょっとした刺激やアレルギー反応で再発するリスクがあると思います。
 
でも、肌の保湿が誰にとっても必須となった今、毎日欠かさず、肌の手入れをずっと続けてきたアトピー持ちの方は、いわばスキンケアのプロともいえますよね。
子どものころにしっかりアトピーの症状を改善させて、正しいスキンケアを続ける習慣がついた世代が増えれば、そのうち『アトピー持ちの人って美肌だよね』と言われる時代が来るかもしれません

実際、私の患者さんの中には、赤ちゃんの頃は重度なアトピーだったのに、普通の人よりもずっと肌がキレイになって小児科を卒業していった十代の子供たちがいっぱいいますよ」(堀向氏)

思わず心の中で叫んでしまった。「美肌」は、私が望んでも絶対手に入らなかった憧れの誉め言葉。それを後輩のアトピっ子たちは手にできる可能性があるというのだ。これ、もっと多くのアトピっ子持ちママたちが知るべき朗報ではないか。憧れのキレイ肌を目指せるなら、面倒な毎日のスキンケアへのモチベーションも上がる!

堀向健太医師
日本アレルギー学会専門医。指導医。代議員。小児科専門医。指導医。2014年、世界初の保湿剤によるアトピー性皮膚炎発症予防の介入研究を発表。近著に「マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア」(漫画家の青鹿ユウ氏と共著。内外出版社刊)。通称「ほむほむ先生」として、SNSやブログなどで広くアトピーや皮膚ケア、医学の情報をわかりやすく発信している。https://pediatric-allergy.com/category/atopic-dermatitis/

(※2)Exogenous Dermatology 2002; 1:32-8.

-AD-