とはいえ、一旦「惚れた腫れた」の世界にどっぷりと落ちてしまえば、お互いに欠点は気にならなくなる。むしろ「ダメなところも好き」だなんて、他人から見れば「勝手にしやがれ」的な、自分たちだけの世界観をつくり上げていくわけだ。
まさにこの世の春である。この関係が長く続けばハッピーだ。
ところが、どれだけ熱く燃え上がろうとも、残念ながらやがて冷める。冷静になって我に返ってみれば、「何でこんな人に惚れたのだろう」と、顔を見るのも嫌になっていく。
箸の上げ下げまでもイラッとして耐えられない。まさに幻想から醒めていくのである。
そうして愛は、憎しみへと変貌していくこともあるのだ。
仕事と恋愛はよく似ている。自分が心から愛するに値する素敵なパートナー(仕事)と出会うことなど、なかなかできない。
愛するに値するパートナーさえ現れてくれれば、「愛してあげること」ができる、と思っている人は、職を転々とする“幸せになれないビジネスパーソン”と同類だ。
絶世の美男・美女(人気企業)で、高収入のエリート・資産家のお嬢様(大企業)で、どんなわがままも聞いてくれる誠実な相手(好待遇の会社)と出会いたい、という願望も虚しく“妥協の恋”を選択しても、やがては破局の繰り返しである。
すると、また懲りずに「今回は恋人(仕事)選びを間違えてしまった」「今度こそ自分と相性抜群の恋人(仕事)を探そう」と再出発を図るのだが……。