# 新型コロナウイルス

新型コロナ、じつは「ワクチン誕生」でもまだまだ安心してはいけないワケ

「本物のワクチン」までは時間がかかる
新型コロナウイルス感染症が1月に日本に流入してからすでに丸10ヵ月が経過し、いま再び第3波と言えるような事態が起きている。この間、コロナウイルスについては様々な研究結果が発表されているものの、その量はあまりにも膨大なうえ、報道などで伝えられるのはその一部で、その一部すら日々追えていない人がほとんどだろう。

そこで、この感染症治療の最前線にいる国立国際医療研究センターの国際感染症センター国際感染症対策室医長で感染症専門医の忽那賢志氏へ緊急インタビュー。新型コロナの治療薬、ワクチン開発などについて、いま「知っておくべきこと」を掘り下げた(本インタビューは11月18日時点までに行われたものであり、その時点での知見に基づいている)。

「レムデシビル」と「デキサメタゾン」の本当の実力

―現在の治療薬の状況について教えてください

今承認されている薬、あるいは試されている薬は、もともと違う病気に対して使われていたものの中で、新型コロナにも効くのではないかと推測されたものです。既に日本国内で承認されているものは抗ウイルス薬のレムデシビルと抗炎症薬のデキサメタゾンの2種類です。

レムデシビルはアフリカで時折流行する致死率の高いエボラ出血熱の原因ウイルスであるエボラウイルスに対する治療薬として開発されていたものを転用した形です。日本では今年5月に特例承認されました。

レムデシビルは2月の段階で中国科学院武漢ウイルス研究所のグループが試験管内で新型コロナウイルスに対する効果を検討した研究で有効性がありそうだと発表されました。その後、欧米アジアで中等症以上の患者を対象に行った臨床試験で症状改善までの期間を3割程度短くすることが分かりました。

レムデシビル photo/gettyimages
 

一方、炎症を抑えるステロイド薬のデキサメタゾンは従来から幅広い疾患に使われていて「重症感染症」の適応も持っていました。

今回イギリスで6000人以上の新型コロナの患者を対象に行われた臨床研究から、酸素吸入や人工呼吸器の装着が必要な中等症以上の新型コロナの肺炎患者で、デキサメタゾンを使用した場合は使用しない場合と比べて死亡率の低下が認められました。ただ、酸素吸入が必要ない人では統計的な差は認められなかったものの、デキサメタゾンを使用した方が死亡率が高めだったことも注意が必要です。