photo by iStock

会社や学校で盗撮・盗聴…実は「罪」にならないのをご存知ですか?

法律の「落とし穴」

会社の女子トイレにICレコーダーが仕掛けられていた

「え、何これ。盗聴…?」

土曜日の朝、休日出勤したシズコさん(仮名・32歳)は息を飲んだ。掃除のために入った会社の男女共用トイレのタンクの下に、小さなICレコーダーが自動録音の状態で仕掛けられていた。会社は小さなデザイン事務所。彼女以外の社員は20代の男性1人しかいない。前日は雑誌広告のモデルオーディションで、大勢の外国人女性モデルがマネージャー同伴で入れ替わり立ち代わり訪れていたが滞在時間はごくわずか。パウダールームは使用しても、トイレを利用したモデルはほとんどいない。

photo by iStock ※写真はイメージです

「ターゲットは私? まさかね」

震える手で、同僚男性のデスクを探った。「犯人」は彼しかいないと思ったからだ。デスク上に無造作に置かれていたUSBをPCに差し込み、再生して愕然とした。モデルのカメラテストの合間に位置調整のためなどでちょこちょこ写っているシズコさんの画像だけを編集したデータが、大量に保存されていた。

友人の女性編集者に電話するとすぐに飛んできてくれた。

「犯人はあいつだとしても証拠が必要ね。レコーダーはそのままにして、月曜日に彼がトイレから回収したところを押さえたらどう。社長には今日のうちに連絡して、月曜日は一緒にいてもらったほうがいいと思う。というより、現場を押さえるのは社長にお願いするほうがいいよ。あなたはもう、あいつの顔を見るのもいやでしょ」

心配そうに見つめられ、シズコさんの目から涙があふれた。

月曜日、社長に問い詰められた同僚男性はあっさり自供した。仕事はできるし、勤務態度も真面目な人間だったが、不問に付すわけにはいかないと、社長は泣く泣く解雇した。ただし、まだ若い彼の将来のために、被害を届けることはしなかった。

 

一方で、シズコさんのショックは収まらない。

「本当に盗聴だけだったのかな…。盗撮もしているかもしれない。ネット上に私の画像が拡散されていないって言いきれるのかな。警察に被害届を出して、デスクも家も徹底的に調べてもらうべきだったのかも」