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竹中平蔵氏が提唱する「ベーシックインカム」、いまの日本で絶対に実現すべきでない理由

経済学の観点から

このコラムでは、ベーシックインカムと呼ばれる現金給付政策について解説する。筆者がこのコラムを執筆するきっかけとなったのは、菅義偉首相のブレーンと目される竹中平蔵氏が最近、頻繁にベーシックインカムに言及していることである。

筆者は、かねてよりベーシックインカムには懐疑的であるが、そんな折、ならばなぜお前はベーシックインカムに反対なのかちゃんと書き残してみろと、編集部よりご依頼を頂戴した。せっかくの機会なので、ここで幾つかの説明を試みたいと思う。

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まずは「定義」からはじめよう

お決まりの議論のパターンではあるが、ベーシックインカムとは何かということを定義づけておきたい。ベーシックインカム(Basic Income)とは、政府が、個人に対して、無条件に、一定の現金を、定期的に配る制度のことである。

誰もが受給できるという普遍性を強調してユニバーサルベーシックインカム(Universal Basic Income)と呼ばれることも多く、アメリカやヨーロッパでは、こちらの名称の方が一般的かもしれない。今、話題になっている竹中平蔵氏のベーシックインカム案によれば、毎月、国民に7万円を無条件給付ことが提案されている。

ベーシックインカムを定義の字義どおりに受け取れば、なんとも寛大な話であり、さまざまな歓迎を受けることが想像されるが、一方で多くの懸念をも呼び起こすだろう。ある者は究極の貧困対策と思うかもしれないし、またある者は地獄への道を舗装する善意と受け取るかもしれない。いずれにせよ、そのシンプルさとインパクトの強さから、ベーシックインカムに着目する人は非常に多い。