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# 事件

世界最悪の「熊害」…12人が犠牲になった「マイソールの人喰い熊」事件をご存知か

「ナマケグマ」とは名ばかりで…

日本史上最悪の獣害といえば、三毛別の羆事件がすぐ浮かぶ人も多いかもしれない。1915年、北海道苫前町にあった村をエゾヒグマが何度も襲い掛かり、7名が死亡した事件だ。

世界でも同様に、熊が人里にやってきて、次々と住民に襲いかかる事件が起こっている。その最悪のケースとされるのが、1957年、インド南部で少なくとも12人の犠牲者を出した「マイソールの人喰い熊」である。

事件の舞台となったのは、マイソール州のアシケレという街にほど近いエリア。ある時、人々が暮らしているエリアの岩場に、件の熊が巣を作り始め、畑の食材を物色し始めたという。

この熊、しばしば話題になるヒグマやツキノワグマではなく、インドに多く生息する「ナマケグマ」という種類である。名前の響きからは、なんとなく愛らしいイメージを持つかもしれない。

とぼけたような表情のナマケグマ/photo by gettyimages
 

つぶらな瞳が特徴的だが、ひとたび本能を剥き出しにすると、好戦的だ。名前の由来にもなっている、ナマケモノのような長い爪を繰り出して、トラのような「最強クラス」の肉食獣を追い払うこともしばしばある。体長160cm前後、体重は120kg程度、ヒグマより小さいが、人間が対峙したらひとたまりもないのは明らかだ。

そんなナマケグマが村に現れるようになっては、撃退するしかない。住民はあれこれと策を練ったが、ナマケグマは昼夜を問わず村にちょっかいを出す回数が増えていくばかりだった。

その攻防のストレスで、ふだんは温厚なナマケグマが豹変した。熊はその爪と歯で人々に襲いかかったのである。ナマケグマの性質らしく、人の顔を執拗に攻撃し、完全に引き裂かれてしまった人もいる。生き延びた人でも、鼻や頬、目を攻撃され、むしりとられてしまった。一瞬にして周囲は地獄絵図と化した。