一度落ちた筋肉は元には戻らない

ALSの場合、一度落ちた筋肉が元に戻る事はありません。ものすごく残念なのですが、トレーニングはほとんど効果がなく「自分の筋力が今どれくらいか?」ということが分かるだけです。

「トレーニングは大切ですが、やりすぎはよくないと考えられます」
理学療法士(PT)の方はそうおっしゃっていました。私も「頑張ってトレーニングをしすぎると、そこから数値は落ちていく」と感じたのです。確かに「体幹」などを上げることは筋トレではなくストレッチでできますので、それによって腹圧が上がったり、握力が戻ったりすることはあります。

2019年12月、入院時、お世話になったPTさんと 写真提供/津久井教生

ですから、早い段階でPTさんとお話をして、筋トレというよりは「体の硬化を防ぐトレーニング」を個人に合わせたメニューで作ってもらうことが大切です。なぜならば、運動能力に影響する筋肉の減少に関しても、かなりの個人差があるのがALSだからです。

私のように進行が速いと思われる人に関して、あくまでも私が思う自分の体感なのですが「何らかのALS病状進行スイッチ」が入ってしまった感じがあります。現在「要介護4」「障害者手帳1級」の私ですが、今年の2月から出会ったPTさんとメニューを作成してもらって変わった事があります。メニューのリハビリを開始してから半年余りで進行スピードが少し緩やかになっていると思うのです。

プロに助けてもらうことが大切 写真提供/津久井教生

スイッチをオフにして「もう少し早く筋トレを怠けていても良かった」と4月くらいから思いました。過度な筋トレの影響は2か月くらい続く感じです、運動が得意な私のようなタイプが陥るようです。ただし付け加えておくと「本当に怠けるのもNGです」通常の生活の動きはしていく方が良いと思います。

そして「自分にとっての通常の生活の動きとは?」を知るためにも、早いうちに経験のあるPTさんのアドバイスを受けることが大切です。

「健常な状態でなくなったら、プロのアドバイスを受ける」

当たり前なのですがこれが大切な事です。そうする事で、なくしたものも大きかったのですが、残せるものもしっかりと出てきてくれている状態になっているのです。現在宅訪の方にも手伝ってもらって、自分なりにALSと向き合っています。しっかりとリハビリをやりはじめて9ヵ月余り。少しずつ分かり始めてきた事も出てきている状態です。

【次回は11月21日(土)公開予定です】

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