「筋肉が減少するなら運動すれば」はNG?

今までの連載でALSは筋肉が減少することと合わせて、筋肉が炎症を起こして血液中のCKの値が異常に上がる事を書きました。だとすると、多くの方が思いつくのが「減った分の筋肉を運動で増やせばいい」という考え方です。

実は私も初期に下肢に異常を感じた時にそう考えました。
「運動トレーニングで逆に跳ね返せないものか?」

年齢的にも筋力が落ち始めていることもあるのだろうと思い、日頃から基本的にやっていた運動を少し多めにする事で「階段が登りにくい」「走ると腿が上がりにくくなる」という初期症状の改善に臨みました。ところが、次の日に過度な運動の分がダメージになって残る感覚が日増しに強くなっていったのです。「しばらく続けると楽にできるようになる」という若い時の運動をこなす感覚とは、真逆の筋肉感覚が襲ってきました。

写真提供/津久井教生

トレーニングをすればするほど「すぐ疲れて休まないと動けない方向」に進んでいきます。思い返してみると、2019年6月の整形外科に通院していた頃のトレーニングは真逆の効果であったと思います。私の場合は、すべての筋トレが結果として体をいじめるくらい夢中になってやってしまったので、この言い方が合っているか良くは解りませんが、ALSのスイッチを押しっぱなしにして、足の筋肉を炎症させっぱなしにしてしまったようにも思います。寝ている間も足が熱い感じで、どんどん細くなっていきましたから。CK値も楽々と1000を超えていきました。

「怠け病」などと言われているALSです。でもある意味ではあたっていると思うのです、「辛くなったらやめる」これが大切なのだと思います。筋肉を維持するためには「過度なトレーニングを避け、筋肉の硬化を防ぐ事が大切」。つまり通常生活での筋肉運動を心がけて、それを維持する事を日課とする。そしてストレッチも呼吸としっかりと連動させていくことなのです。

2020年1月、カパルと一緒の津久井さん。このときはW杖で歩いていた 写真提供/津久井教生