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なぜトランプは負けられないのか? 実は「一文無し」になる可能性も

「国外脱出」のシナリオにも言及していた

米国の次期大統領選は事前の予想通り、もつれた展開となっている。現職のトランプ大統領はミシガンなど幾つかの州で郵便投票の集計停止を求める訴訟を起こした他、今後のさらなる法廷闘争も辞さない構えだ。何故、そこまでして彼は選挙に勝ちたいのか?

それは単に最高権力者の座に止まりたいという願いとは別に、極めて切実な理由に根差している。仮にトランプ氏が今回の選挙に敗れて大統領の座を追われた場合、それまでの大統領職に伴う免責特権が失われ、数多の訴訟リスクに晒されることになるからだ。これは以前から米国内外のメディアで報じられるなど、半ば公然の秘密と化している。

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お金が足りなくなる可能性

米ニューヨーカー誌の報道によると、トランプ大統領はこれまで推定4000件に上る訴訟と26件に上る性的不適切行為の訴え、そして昨年12月の米連邦議会における弾劾裁判等を生き残ってきた。

しかしニューヨーク州・市政府の検察当局は未だに、トランプ氏が大統領になる前の商行為等に対し、潜在的な刑事責任の可能性があるとして捜査を進めている。他にも、こうした捜査や民事訴訟の準備が10件以上進んでいるという。

Why Trump Can’t Afford to Lose” The New Yorker,November 9, 2020 Issue

仮に、これらが実際の訴訟へとつながれば、トランプ氏は弁護士費用など相当の出費を迫られることになる。ところが、そのためのお金が足りなくなる可能性がある。

今年9月のニューヨーク・タイムズの報道によれば、トランプ氏は4億2100万ドル(400億円以上)に及ぶローンその他の負債の責任を個人的に負っており、そのほとんどが4年以内に返済期限を迎えるという。

LONG-CONCEALED RECORDS SHOW TRUMP’S CHRONIC LOSSES AND YEARS OF TAX AVOIDANCE” The New York Times, Sept.27, 2020

とは言え、不動産王のトランプ氏のことだから、推定数十億ドル(数千億円)とも言われるホテルなどの資産を一部売却すれば問題ないと思われる。

 

ところがトランプ氏が所有するリゾート・ホテルなど不動産の資産価値はコロナ禍の影響で相当目減りしており、その売却によって借金を返したり法廷闘争の資金を捻出するのは、それほど容易ではないと見られている。