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三菱重工、旅客機開発凍結が物語る日本製造業の「ゲンバ」崩壊

日本人技術者の力、見る影もなし

1兆円つぎ込んで型式証明も取れず

三菱重工業は10月30日、ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を、事実上凍結したことを正式発表した。

新型コロナウイルスの蔓延による航空業界の事業縮小が引き金になったとはいえ、航空会社への納入が6度にわたって延期されるなど、技術力そのものに疑問符が付いていた。

2016年には大型客船事業からも撤退していたが、これも納入遅れによる巨額損失が引き金。外国人技術者に依存せざるを得なくなった日本の製造業の「ゲンバ(現場)」の崩壊を象徴している。

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三菱スペースジェットは日本製の小型旅客機として計画された。2008年には全日空からの受注を受け、子会社「三菱航空機」を設立して開発・製造を進めてきた。2013年に初号機が納入される予定だったが遅れに遅れ、2015年11月にようやく初飛行にたどり着いた。

ところが、国が機体の安全性を証明する「型式証明」はいまだに取得できていない。2020年3月期には減損損失などで2600億円強の費用を計上。すでに1兆円の資金が投じられ、経済産業省も支援の一環として500億円の国費を投じた。

 

今後も型式証明の取得に必要な作業などは続けるとしているが、飛行試験などは中断する。これまで「2021年度以降」としていた納期もメドが立たなくなった。事業化自体が幻に終わる可能性すら語られている。