ケニア大使館前で寝泊まりする女性たち(写真はすベて筆者撮影)

「マダムは私をゴミのように捨てた」レバノンで生きる移民家事労働者の“悲痛な叫び”

「お金はいらないから、もう帰りたい」

「マダムは私を捨てたのです。ゴミみたいに」
「雇い主は私のことを『“これ”にお金を払う必要なんてない』って言っていた」
「私たちを犬みたいに働かせるつもりなんだから」

いずれも、レバノンで家事労働者(家政婦)として働くアフリカ出身の女性たちの言葉である。

 

「現代の奴隷制」――そう呼ばれるものがレバノンには存在する。

人口680万人のレバノンに、現在、推定25万人から30万人のアジア・アフリカ出身の家事労働者たちが働いている。

その中には、物理的、性的暴行を加えられ、家主からまさに奴隷のように、外出も許されず、家の中に閉じ込められて働かされる場合もある。

あまりの扱いの酷さに、精神を病んでしまう人もいて、人権団体などの調査では1週間に1〜2人の自殺者が出ているというのだ。

帰国を待つケニア人家事労働者

レバノンの家事労働者事情は以前から深刻な問題であった。

しかしここ数ヵ月のレバノンにおける経済危機と、8月に起きたベイルート港の爆発事故の影響で、女性たちをめぐる待遇は急激に悪化した。給料を払えないという理由で家を追い出され、女性たちは路上で1ヵ月、2ヵ月と過ごしているのだ。

彼女たちが望むのは帰国であるが、数年間、給料は未払いのことも多く、帰国の費用もままならない。これがレバノンで起きている現代の奴隷制と言われる実態である。