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SF映画はコロナ禍の世界を10年前に予見していた!

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

現在を予見した10年前の映画

2011年の今日、スティーブン・ソダーバーグ監督の映画『コンテイジョン』(Contagion)が日本で公開されました。

 

マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーンといったそうそうたる名優陣が出演する本作は、爆発的に広がる感染症を題材としています。タイトルの「コンテイジョン」とは「伝染」という意味なのです。

『コンテイジョン』のあらすじは、香港由来と思われる感染症が、ある日を境に爆発的に流行し、世界中であっという間に広がってしまうというもの。「MEV-1」と名づけられたこの感染症は脳炎に似た症状を呈し、ひどい例では感染から2日で亡くなってしまいます。

映画『コンテイジョン』予告編(2011年)

驚くべきは、感染症対策の専門家による緻密な考証とともに編まれたリアリティあふれる演出です。潜伏期間のキャリアがそうとは知らずに感染症を広げてしまうこと、医療従事者の感染、買い占めに都市封鎖、デマや陰謀論の横行……。

ドキュメンタリータッチで映し出されるこれらの情景はみな、今年、我々がいやというほど目にした現在の世界そのもので、2011年の作品でありながら、現実と区別がつかない正確な予測は寒気を覚えるほどです。

空の交通網が整備され、地球の裏側まで半日で飛べる現在、パンデミック(感染爆発)のリスクは飛躍的に高まっていると警告され続けてきた私たち。COVID-19の大流行は、そんな予測の正しさをこれ以上ない形で見せつけました。流行から約9ヵ月間を経て、なんとなく日常生活に戻ってきた感があるかもしれません。対岸の火事ととらえる人も多いでしょう。しかし私たちは、事実としていつ終わるとも知れない感染症の渦中を生きているのです。

今年4月、COVID-19の流行に合わせて、『コンテイジョン』のキャストたちが感染症対策と冷静な対応を呼びかける特別映像が公開されました。記事執筆時点でCOVID-19の全世界感染者は5000万に届こうかという勢いであり、犠牲者は100万人を超えています。

映画『コンテイジョン』感染対策メッセージ(2020年)