【頭脳パズル】コインを3枚だけ動かして、三角形を移動できますか?

言語と認知の意外な関係性とは
鈴木 宏昭 プロフィール

よくできた説明であり、一瞬納得しそうになるが、これはやはり間違いなのだ。だから体を動かせばわかるのに、言葉でそれをやろうとするから失敗するのだ。

ただし、頭の中で考える条件と実際に手を動かす条件が、正確に言語の利用の有無と関わっているかは不明だ。確かに、実際に手を動かす時にも言語は絡んでいるだろう。しかし、前者ではより言語的な思考を働かせるのではないだろうか。だからもう少しマイルドな言い方をすれば、身体を使うことで頭の働きがより優れたものになる、となるのかもしれない。

言葉が上達すると絵が下手に…

言語が働くとまずくなるものは他にもある。それは絵だ。下の絵を見ていただきたい。これは私が行っている講義の中で描いてもらったものである。だから描いた人は幼稚園児ではなく、大学生である。何が描いてあるだろうか。実は「ウマ」である。

大学生たちが描いた……ウマ?
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むろん、「面白いウマを描いてください」とか「変なウマを描いてください」と言ったわけではない。「できるだけ写実的に、真面目に描いてください」と告げている。

もう一つの絵を見ていただきたい。これはナディアという名 前の重度の自閉症の子供が6歳の時に描いた、(説明の必要はないと思うが)ウマの絵である。彼女はこの時期は障害のせいで運動機能に問題があり、何より人とコミュニケーションを取ることができなかった。だから絵を描くための教育を受けたことはまったくない。

ナディアが描いたウマ(Selfe, L. (2011). Nadia revisited: A longitudinal study of an autistic savant. New York: Psychology Press.)
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しかしながら、この絵はまず誰が見てもウマに見える。それだけではなく、写実的であるし、躍動感がある。前の大学生の絵が全部横から固定したポジションのウマを描いているのと対照的である。むろんナディアは馬を見ながら描いたわけではない。

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