大人が知らない間に「若者のライトノベル離れ」が起きていた…!

正確には「ラノベの中学生離れ」、なぜ?
飯田 一史 プロフィール

2010年代を通じてライトノベルは、四六判やB6判ソフトカバーで刊行されるウェブ小説書籍化(中核読者は20~40代)、一般文芸に寄せたライト文芸(主な読者層は20代以上の女性)のレーベルを次々に創刊し、上の年齢に向けて積極的に拡張してきた。

その流れは富士見ファンタジア文庫のような既存のライトノベルレーベルにも及び、なろう系作品が文庫ラノベでも刊行され、また、社会人が主人公やヒロインという明らかに大学生以上の読者を狙った作品も増えた。

その一方で、従来は「中高生向け」を少なくとも建前としてきたレーベルでさえ、ローティーンやミドルティーンに向けて積極的に作ろうという動きは、ボカロ小説を除けばあまり見られず、そのボカロ小説は2010年代半ばには失速してしった。

ニワトリが先かタマゴが先かで言えば、ラノベのほうが中高生から離れていったのが先だろう。結果、中高生がラノベから離れたのではないか。

 

「子どもの本離れ」が原因ではない

「少子化だから」とか「スマホが普及して無料の娯楽が増えて本離れが進んだから」中高生がラノベから離れた、ないし相対的にそう見えるのでは、という意見に筆者は与しない。

文庫のライトノベル市場は、2012年が統計を取り始めて以来のピークで284億円、2019年には143億円と半減(出版科学研究所調べ)。そもそも文庫本市場は落ち込みが激しいが、文庫全体の落ち込みよりハイペースで文庫ラノベ市場は縮小している。

一方、10代の人口は2012年には1192万人、2019年は1117万人。減ったのは6%だ。

では可処分所得が減ったからでは? と思うかもしれない。中高生の書籍代に関する統計はないので統計局家計調査の「2人以上勤労世帯」の書籍代を用いると2012年は3800円、2019年は3016円と約2割減に留まっている。人口減と書籍代減を掛け合わせても2012年から26%減。

文庫ラノベ市場の落ち込みの理由を深掘りしようとすると本題から逸れるので立ち入らないが、少子化のペースと文庫ラノベ市場の落ち込みのペースの不一致ぶりを鑑みると「少子化で中高生読者が減ったから、相対的に中高生がラノベを読まなくなったように見える」論には賛同しかねる。

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