大人が知らない間に「若者のライトノベル離れ」が起きていた…!

正確には「ラノベの中学生離れ」、なぜ?
飯田 一史 プロフィール

学校読書調査は毎年各3000~4000人の中学生、高校生の男女(各学年男女各500人前後)を対象にして「5月1か月間で読んだ本」について尋ねており、中学生ではそのうち5、6人、高校生では2、3人に読まれればトップ20に入る。中学生500人に1人、高校生1000人に1人読んでいれば入る。

にもかかわらず『俺ガイル』は一度だけ、しかも一学年にしか入らず、しかし、累計1000万部超のヒットなのだ。ということは、高校生より上の年齢を中心に読まれていたのだろうと考えざるをえない。

もちろん、シリーズが長期化すれば読者の平均年齢は上がる。だが『ソードアート・オンライン』(『SAO』)や「物語」シリーズが2010年代以降ずっと中学生を新規読者として獲得してきたことと比べると、青春ラブコメといういかにも中高生が好きそうなものに一見思えるジャンルにもかかわらず「下への広がらなさ」が際立っている。

たとえば2015年のデビュー以来、学校読書調査や朝読ランキングで複数年にわたって圧倒的に人気の住野よると比べれば、「中高生に支持されている」とはこれらの調査の結果からは言いがたい。

筆頭格と言うべき『俺ガイル』でそうなのだから、後続の2016年から刊行されている『弱キャラ友崎くん』、19年から刊行されている『千歳くんはラムネ瓶のなか』(ガガガ文庫)などもやはり『このラノ』の年間ランキングには入っても朝読や学校読書調査にはランクインしていない――もっとも、『友崎くん』はTVアニメ化がこれからであることを考えると状況が変わる可能性もあるものの。

 

知り合いのラノベ編集者に「青春ラブコメものは若い読者も入ってきていると言うけれども中学生もいるのか?」と聞いてみると「中学生は少ないんじゃないかな。高校生、大学生以上のほうが多い」と言っていた(ただし本稿執筆にあたりヒアリングした編集者は4人だけであり、その点は差し引いて聞いてほしい)。