「台湾の天才」オードリー・タンが語った「私はなぜスマホをつかわないか」

オードリー・タン 自由への手紙(1)プロローグ前編
語り)オードリー・タン, 構成)クーリエ・ジャポン プロフィール

必要なのは支援のAI

私たちがつくり、未来に役立てていくべきなのは、たんなるAIではなく、ましてや権威のAIでもなく、支援のAI(Assistive Intelligence)です。

支援のAIは、障がい者や高齢者、マイノリティの補助役として期待されているテクノロジーですが、もっと幅広いものだと私は考えています。

支援のAIは、人間の尊厳を守り、強化してくれるものですが、人間だけでなく、あらゆるものの尊厳を守り、助けてくれます。

※画像はイメージです。Photo by iStock
 

海と空を、森と大地を、自然の尊厳も守ってくれるのが支援のAIです。

日本には大昔から「あらゆるものに魂が宿る」という考え方がありますね。それは台湾も同じですが、日本はさらに『ドラえもん』を生み出したほど、テクノロジーに親しみがある国です。ロボットと言えば『ターミネーター』のような敵をイメージする欧米とは異なります。

自然を尊重し、親しみのあるロボットを考えられるのが、日本の特徴です。人間だけでなく、「人間を中心とした文化」を支援する、そんな支援のAIに近い国ではないでしょうか。

お互いの「弱さ」を認め合う

支援は、障がいがある人や、マイノリティだけに必要なものではありませんし、そもそも私たちは誰もがマイノリティです。みんなかたちが違うだけで、それぞれに弱さを抱えた人間であり、その弱さを共有することが大切です。

そこで鍵を握るのが共感ですが、デジタルテクノロジーによって、以前よりもより深いレベルで他者に共感できるようになったのではないでしょうか。

たとえば私は先日、イマーシブテクノロジー(没入型技術)で、「難民として台湾にやってきた外国人」として働きました。

映画というのは観客として誰かの人生を「眺める」ことですが、イマーシブテクノロジーでは、バーチャルな空間で他人の人生を「生きる」ことができます。外国人労働者を眺めるのではなく、体験できるということです。

テクノロジーの力でさまざまな体験をする。そこから共感が育まれれば、お互いの弱さを認めて、助けあえる世界になっていくでしょう。  

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