「台湾の天才」オードリー・タンが語った「私はなぜスマホをつかわないか」

オードリー・タン 自由への手紙(1)プロローグ前編
語り)オードリー・タン, 構成)クーリエ・ジャポン プロフィール

「権威のAI」に自由を奪われてはいけない

日本や台湾は世界の中では恵まれている国です。いろいろな運命を自らつくっていける自由があります。ただ、本当に重要なのは、その自由のサステナビリティ(持続性)だと思います。

さまざまなAI(Artificial Intelligence:人工的な知能)をつくり出す自由は素晴らしいものですが、それが権威のAI(Authoritarian Intelligence:権威主義的な知能)になったとしたら、自由は持続性を失います。

今の世界は「権威のAI」や、個人情報を収集してビッグデータを分析する「監視資本主義」が幅を利かせていますが、私たちはその間の道を見つけなければなりません。

私がスマホを使わない理由

権威をもつのは組織や人だけではありません。テクノロジーもまた、権威をもち、私たちの自由を損なう場合があります。

そこで私は二つ折りの電話を使っています。“ガラケー”に見えますが、スネークのようなゲームもできるし、検索もできるし、自分好みのアプリを入れることもできるし、プログラミングも可能。

※画像はイメージです。Photo by iStock
 

ただし、オープンソースのフリーソフトウェアで稼働しているので、誰かに与えられたコンフィギュレーション(設定)ではない。自分で自由に設定できるものです。

私の電話にできないことは、指でスクロールすることだけ。モードを変更しない限り、スマホのようなタッチパネルにはなりません。

私がタッチペンやキーボードがあるPCを主に使うのは、テクノロジーの支配から自由になるためです。指ですぐに操作できるとなると、常にスマホをスクロールしてしまいます。しまいには依存症になってしまうでしょう。

私は「アンチ・ソーシャルメディア」を標榜していますが、指だけで簡単に操作できないように自分で設定した電話を使うことで、SNSに過剰に注意を払わずにすんでいます。テクノロジーとはあくまで、人間のお手伝いをしてくれるもの。テクノロジーの奴隷になるのはおかしな話です。