過去に戻ってやり直すことができたら――。誰もが抱いたことのあるこんな想いを映画にした『PLAY 25年分のラストシーン』が11月6日に公開される。

本作の舞台は1993年から2018年のパリ。ひとりの少年の25年間の成長を通して、さまざまな愛の形を浮かび上がらせる。友情、幼馴染への初恋、親の離婚、同棲、子育て……。本作に見る人生模様は私たちの多くがたどる愛の体験だが、文化や制度が違う日本人の目には新鮮に映る愛の形もある。例えば映画の中のパリの人々は、いくつになっても、また子供がいても、新たな出会いや恋愛を大切にしている。

本作のアントニー・マルシアーノ監督への取材をもとに、フランスの結婚・離婚観について考えてみたい。

アントニー・マルシアーノ監督

誰かのホームビデオのような映画

主人公のマックス(マックス ·ブーブリル)は13歳の誕生日にビデオカメラを両親から贈られる。それ以後、毎日のように家族や幼なじみたちとの瞬間をビデオに収めていく。
エマ(アリス・イザーズ)への恋心、仲良しグループで行ったバルセロナ旅行、両親の離婚、初めての車の運転、フランスのワールドカップ優勝、ミレニアムを迎える夜、エマの結婚、ファニー(カミーユ · ルー)との出会いと娘の誕生……。ビデオを撮り始めてから25年目の38歳、マックスは自分が思い描いた人生を送っていないことに気づく。その理由を求めて25年分のビデオを再生(PLAY)する彼が見つけた答えとは……? というのが本作のあらすじだ。

『PLAY 25年分のラストシーン』より

1990年代から2000年代のカムコーダーで撮影したかのような映像にするため、わざとブレた映像にしたり、あえて雑音を入れたりなど、緻密な計算の下に行われた本作の撮影は、通常は数日間程度であるカメラテストに半年もかけたという。その苦労のかいもあり、劇中、マックスが再生するビデオ映像は、本当に誰かのホームビデオのように見える。

ウィーザー、レニー・クラヴィッツ、オアシス、ジャミロクワイなど90年代の大ヒット曲を背景に、青春時代あるあるのエピソードが惜しみなく散りばめられているので、30代から40代の大人なら自分の過去を追体験することができるだろう。

そんな本作は意外なことに、フランス本国では幅広い年齢層に支持され、とりわけ若い世代から大人気だったそうだ。

「試写会に来てくれたティーンによると、この映画は彼らの『現在』、そしてこれからやってくる『未来』を見るようだ、と。恋愛、結婚、子育て、離婚……。すごくリアルで心が震えたと話してくれました」(アントニー・マルシアーノ監督、以下同じ)