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携帯値下げの「全内幕」菅首相がドコモ、KDDI、SBを服従させるまで

まだ、これで終わったわけではない

菅義偉政権が「最優先課題」として急ピッチで進めている携帯料金値下げ。KDDI、ソフトバンクが早々に「大容量プランで月額5000円以下」という菅首相の要求通りの料金プランを提示した。最大手のNTTドコモも11月後半にも新プランを発表するとみられ、臨時国会前半にして菅政権は大きな実績作りに成功したことになる。

ただ、現時点で大手3社の料金プランはいずれも「格安ブランド」のものであり、収益性の高いメインブランドに手を突っ込まれることは防いだ。菅首相はひとまず要求に従った携帯大手3社に対して「様子見」の格好だが、来年度以降、本丸のメインブランドに対する値下げ圧力を再び強めてくることは間違いない。

この1ヵ月半のあいだに何が起きていたのか、そしてこれから何が起きるのか。政権、携帯電話大手各社、総務省それぞれの内情をレポートする。

 

「理屈ではなく腕力で」

「菅首相は強引すぎる」

9月の政権発足直後から、携帯電話事業を所管する総務省内では、菅首相の強硬姿勢に対する戸惑いの声が飛び交った。

まずは、自民党総裁選の時点から言及していた「電波利用料の引き上げ」だ。年間717億円(平成30年度徴収決定済額)が徴収されている電波利用料は、携帯電話会社や民放などの無線免許保有者に対し納付が義務付けられている。この菅氏の発言について、ある総務省幹部が振り返る。

「『ああ、菅さんは首相になったら、理屈ではなく腕力で携帯料金引き下げを実現する気だな』とすぐに悟りました。

電波利用料というのはマンションの共益費のようなもので、引き上げる場合は理由を説明しなければならない。例えば、清掃業者を新しく雇いたいから、というように。しかし電波の場合、民放も含めた全体を値上げするための理屈を捻出するのが非常に難しい。

言うまでもなく、携帯とテレビは全く違うものですし、携帯基地局を増設するためにカネが要るなら、普通は携帯各社が自社で予算を組む。国がやる必要はゼロなのです。無理やり口実を付けて利用料を引き上げようとするなら電波法改正が必要ですが、その場合、少なくとも1年は準備期間が必要になる。つまり、こんな無理筋を声高に叫んでいる時点で、菅さんは『業界や役所の話を聞く気はない』と宣言していたようなものです」

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