テストで100点満点を取ったら嬉しい。なぜなら、「答えたものがあっていたことがわかる」「自分の判断が正しいことが目に見える」からだ。しかし正誤といったはっきりわかるもののみならず、その人すべてに点数がつけられたらどうだろうか。
ジャーナリストの島沢優子さん連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」、今回は兵庫県の幼稚園で問題となった「点数つけ」の事例をふまえ、点数だけで評価することの問題点について改めて検証する。

「頑張り」を点数で手の甲に書き込み

兵庫県の町立幼稚園の先生が、運動会に向けた練習に取り組む園児の頑張りを点数で評価し、一人ひとりの手の甲に書き込んだことが先日、地元紙である神戸新聞で報じられた。

年長組の担任である先生は、9月の運動会前の数日間、園児らの甲に「88点」「89点」などと点数をフェルトペンで大きく記入していた。子どもらにやる気を持たせることが目的で、当日本番後には全員に100点をつけるつもりだった。
ところが、園児のひとりが母親に「なぜ○○ちゃんは89点で、私は88点なの?」と疑問をぶつけた。母親は「口ぶりが悔しげで、傷ついていると感じた」と話している。

担任教諭は定年近いベテランで、着任した翌年の2014年から同じ指導を続けており、「自分の主観で子どもが頑張れると思う点数を書いた。明確な基準はなかった。上下をつけようと考えてしたつもりはない」と回答文書に記述している。

「なんで○○ちゃんより低いのか」の基準があいまいなままに点数をつけ、順位づけされてしまうと、「他人と比較されている」ことにもなってしまう(写真は幼児の運動会のイメージです。写真の人物と本文は関係ありません) Photo by iStock

報告を受けた町教委が両親を訪ねて謝罪したというが、担任が外されたり、休むなど幼児らの園生活に影響があったのではと心配だ。もしそうであれば、ほかの保護者や周囲の人たちがが「点数つけられたくらいで大げさだ」とか「そういう厳しさも必要」と、傷ついた園児の両親に矛先が向かうことも予想されるからだ。
この件、担任教諭個人の指導のまずさで終わらせてはいけないと感じる。