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# 成年後見制度

阪神ファン「聖地」の居酒屋女主人が、店と家を追い出されるまでのヒドすぎる全顛末

成年後見制度が産んだ悲劇(3)
東京・台東区の「小料理みゆき」(東京・台東区)は阪神タイガースファンが集まる店として有名だったが、2018年12月に閉店した。女将の金沢千穂さん(79歳・仮名)は、成年後見人に店を勝手に閉められ、私財も処分された。
民法は、成年後見人が付くのは植物状態のように「常に何もわからない」重度の認知症の人と定めている。だが、千穂さんには明確な意思があったのに成年後見人を付けられた。筆者は、千穂さんに成年後見人を付けた東京家庭裁判所の判断自体が誤りだったと考える。(第1回の記事はこちら)

グループホームのベッドが撤去された

成年後見人のあり方を定めた民法858条には、認知症高齢者の意思を尊重しなければないないと書かれている。だが、これには罰則がない。後見人が高齢者のお金を横領したり、暴力をふるうなどの行為をしない限り、家裁は見て見ぬふりをして放置するのが一般的だ。

また、後見人は、いったん付いたら死ぬまで外せない。千穂さんは、自分のわずかな年金から死ぬまで延々、後見人に報酬を支払わねばならない。政府が進める成年後見制度には、深刻な人権侵害を引き起こす構造的な欠陥があることを千穂さんのケースは物語っている。

千穂さんと阪神・能見篤史との記念写真
 

台東区の申し立てにより、千穂さんに後見人が付けられたのは18年3月。後見人の着任日に千穂さんは台東区の老人保健施設に入れられ、同年10月に台東区のグループホームに移された。

同年12月、後見人は千穂さんの反対にもかかわらず、店を閉め、千穂さんの許可なしに彼女名義のマンションを豊島区の不動産業者に売却した。成年後見制度では、後見人が家裁に売却を申し立て、家裁が許可すれば、本人や家族が反対しても、不動産を勝手に処分できる仕組みになっている。なお、後見人は、千穂さんのマンションがいくらで売れたかをいまだに千穂さんに教えていない

19年2月、グループホームの千穂さんの個室からベッドが撤去された。千穂さんがベッドに躓いて転んだためとされる。ベッド撤去後に千穂さんの部屋に入った「みゆき」の常連客たちは驚いた。その1人で、千穂さんから相談を受けていた友人のCさんが言う。