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クマが観光客を襲った…負傷者多数の「乗鞍岳バスターミナル襲撃事件」の教訓

100針縫う大ケガを負った人も

衝撃!駐車場にクマが出た…

前回は1970(昭和45)年7月に日高山脈で起きた「福岡大ワンゲル部ヒグマ事件」について取り上げたが、この事件から約40年後の2009年、今度は北アルプスでツキノワグマによるセンセーショナルな人身被害事故が発生した。

場所は乗鞍岳の登山基点となる岐阜県畳平。標高2702メートルのこの地には、バスターミナルをはじめ駐車場や宿泊施設、遊歩道などが整備され、代表的な山岳観光地ともなっている。長野県側からはエコーライン、岐阜県側からだったら乗鞍スカイラインという観光道路を利用して労せずここまで来れば、標高3025メートルの乗鞍岳の山頂までは、歩いてわずか1時間半ほどの距離だ。

この年の9月19日は3連休の土曜日にあたり、天気にも恵まれたことから、畳平は朝から大勢の登山者や観光客で賑わっていた。そこへ突然、乱入してきたのが、一頭の雄のツキノワグマだった。

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時刻は午後2時10分過ぎ。クマは畳平の北東にある大黒岳のほうから駆け下りてきて、乗鞍スカイラインを走るバスに接触したり、利用休止中の駐車場の鉄柵に挟まったりしているうちにパニックに陥り、大勢の人が行き来しているバスターミナルの駐車場に飛び出してしまった。

思いもよらぬ野生のクマの出現に「クマが出たぞー」という声が上がり、その場は騒然となった。クマもまたいきなり多くの人間に取り囲まれ、いっそう興奮状態に追い込まれた。その直後から周囲にいた人々を次々に襲いはじめたのは、退路を求めての行動だったと思われる。