ここで、時系列をラグなしから3四半期ラグまで分けて効果を計測しているが、この理由は単純で、為替の変化が業績にインパクトを与えるまでにはタイムラグが存在するからだ。
そして、前頁の図を見てみると、1四半期~2四半期のラグを考慮すると相関の値が高くなることが分かる。つまり、3カ月から半年前の為替変動が企業の利益に最も大きなインパクトを与えうるということだ。
これらを踏まえたうえで、今後の日本株投資をリスクの視点から考えてみると、大きく3つのステップを想定したうえで、注意すべき銘柄を挙げることができる。
(1) 欧州売上高比率の高い企業
1つ目は、最も基本的な大枠として欧州での事業規模が大きい日本企業は、当然ながら欧州経済の減速に対して悪影響を被る可能性が高くなる。つまり、単純に企業ごとの所在地別売上高の数字から、全体の中の欧州売上高比率を算出し、それを比較すればよい。
上が、現時点における東証一部上場企業の欧州売上高比率の上位20銘柄だ。証券会社のアナリストにカバーされない銘柄はデータの開示に不安があるため、アナリストカバー銘柄のみに限定している。
トップは欧州を中心とした海外のロイヤリティ収入が大きい塩野義製薬となり、2位のDMG森精機は投資家の間でも「欧州関連銘柄」として広く知られている。それ以外にも、マキタ、シマノ、ローランドディージー、コニカミノルタなど、欧州に関わりの深い製造業の名前が目立つ。