そして、急激な経済の悪化が懸念されるとそれに付随して発生するのが通貨安である。
景況感が悪化すると、金利が低下して通貨としての魅力が低下するほか、財政赤字の拡大や量的緩和政策による資金供給量の物理的な増加から、対象地域の通貨(今回はユーロ)は下落することが想定される。
加えて、日本の視点から見れば、ユーロの反対側にある日本円は有事に強い安全資産としての側面が強いため、コロナに限らずリスクオフ時にはそもそも円高に振れやすい性質を持つため、強いユーロ安・円高を生み出しやすくなるだろう。実際に、コロナの感染拡大とユーロ円の推移を見てみたい。
前回ロックダウン時の3月から5月にかけて、欧州経済の見通しの悪化から急速に円高・ユーロ安が進行しており、その後の一時収束から一転してユーロ高へ転じているという分かりやすい推移が観察できる。
そして、9月以降に再び感染が拡大すると、それと呼応するようにユーロ円もトレンドを変え、ユーロ安円高の傾向が見られ始めた。
現在のコロナの感染拡大の状況を鑑みるに、目先に急激に収束に向かうとは考えにくいことから、少なくともこれから経済封鎖を実施し、減少の兆候が見え始めるまではユーロ安が進行しやすい状況は継続すると考えた方がいいだろう。