強烈にむなしい…ナンパに「自分の拠り所」を求めた男の「深い心の闇」

ストリートナンパの恋愛事情【後編】

ファミレスで出会った女性と交際を始めたが、数ヵ月もたたないうちにその女性から「ごめん、私、4股してるの。申し訳ないから分かれてほしい」と突然別れを切り出された仙田さん。

未練が残るものの、その時は泣く泣く彼女の意思を受け入れたが、その後、また偶然に誰かと出会い、魅力的だと思った女性と付きあいたいとも思っている自分の存在に気がついたという。

こんな出会いをなんと呼ぶのか? 考えた末に「ナンパ」だと気がついた仙田さんは、その後ナンパにのめり込むようになるが、そこに身を投じた結果、横たわるのは「強烈にむなしい」という気持ちだった。

師匠に習ったナンパの方法

ナンパについて知りたくなった私は、インターネットで調べるうちに、「ナンパ研究会」(以下「ナン研」と略す)というサイトを発見した。

2000年代初頭から10年ほど続いたサイトで、ナンパのノウハウが詳細に書かれていたり、ナンパ師同士が情報交換できる掲示板があったり、ナンパブログの紹介ページがあったりと、「ナンパをしている人が世の中にはたくさんいるんだ!」と実感できた(実際には少数派だが)。

そこでストリート(路上)ナンパの方法を学んだが、実践する勇気がなかなかでなかった。ファミレスで4股彼女に声をかけたときの恐怖も蘇ってきた。困った私は、ナン研の掲示板で「ナンパ講習やってます」と書いていた人にメールを送って教えてもらうことにした。

JR新宿駅の東口の待ち合わせ場所に現れたのは、黒髪短髪の地味な服装をした青年だった。キャバクラのスカウトをしていると聞いていたので強面の人が来るかと思っていた私は拍子抜けした。

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その師匠に教わりながら、私は生まれて初めての路上ナンパをした。ゆっくりと歩いている女性に「すみません、このへんで美味しいお店知りませんか?」と話しかけ、教えてもらった後に「案内してください」と頼む。店の前に着くと、「一緒に食事をしましょう」と誘う。

断られたとしても、そこに至る過程で会話が盛り上がっていれば電話番号を聞きだす(ナンパ用語で「バンゲ」という)くらいはできる。

残念ながら食事もバンゲもできなかったが、何人かの見ず知らずの女性と会話を楽しむことができて、私はとても気分が高揚するのを感じた。

――これを続けていれば、きっとまた魅力的な女性に出会えるだろう……。

その高揚感は、アルバイトをしながら大学院に通い、小説を書く生活からは得られないもので、4股彼女の言葉を借りれば「本来」の私とは別の私が抱いているものだったかもしれない。だが私は、その感情に身を委ねてみたくなったのだ。

4時間ほど付きあってもらい、5000円を支払って別れた師匠とはその後会うことはなかったが、ナンパへの扉を開いてくれた人として、今もときどき思いだす。