「フィンセン文書」でも注目されている photo/iStock
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高額美術品を狙え! 巨額マネーを「資金洗浄」する犯罪者たちの最新手口

いま起きている壮絶な攻防、その最前線

去る9月、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク局(The Financial Crimes Enforcement Network、略称FinCEN<フィンセン>)の2657件に上る内部文書の詳細を、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がすっぱ抜いた。それらは、世界中の金融機関が、マネーロンダリングや犯罪収益の隠匿などの疑いがある取引を報告したもので、オフショア(タックス・ヘイブン)を含む国際金融市場で、無数の不正が横行している実態が明らかになった。

国際市場で横行する「高額美術品」の不正取引

この「フィンセン文書」には、数多くの国際的な美術品取引が含まれている。たとえば、英スタンダード・チャータード銀行は、同行のネパール子会社などをつうじ、「パンテオン・ワールドワイド」という実態不明の会社のために、520万ドル(約5億4500万円)を超える送金取引を実行した。

送金の相手は、ニューヨークの複数の美術商で、そのうちの1社は盗品である13世紀のネパールの仏像を販売した件などにより米国で有罪判決を受け、別の美術商は、アフガニスタン、カンボジア、インドなどから盗まれた数百万ドルの古美術品の密輸・販売に関与した罪などで米国で訴追されている。したがって「パンテオン・ワールドワイド」は、盗難美術品を売っていたものと見られる。

高額美術品をめぐる不正取引が横行している photo/iStock
 

英バークレイズ銀行は、ロシアのプーチン大統領の幼馴染で、億万長者のアルカディ・ローテンブルクのアドバンテージ・アライアンスというペーパーカンパニーのために、2012年から16年の間に6千万ポンド(約81億9000万円)の送金取引を実行した。同行の報告に基づき、米上院国土安全保障・政府問題委員会は、アドバンテージ・アライアンス社が数百万ドルの美術品を購入したと結論付けた。