大阪都構想で“敵認定”された「大阪の公務員」、彼らが語った「やりきれぬ思い」

維新は大阪を「利用」してきた
松本 創 プロフィール

だが、130年余の歴史と政令指定都市の強い権限を持つ大阪市が廃止・解体され、都市計画をはじめとする自治権や自主財源が失われようかという今、職員間で議論もできず、何も声を上げられない現状には、言いようのない無念が募る。

住民投票が可決されれば、退職する職員も相当出るだろうと囁かれている。何しろ、4つの特別区と、4区が共同で運営する一部事務組合(介護保険や情報システム管理など約150の事務を担当)、そして府庁、どこに振り分けられ、何の仕事をするのか、待遇はどうなるのか、一切示されていない。

 

「官邸官僚」のような「副首都推進局」

いわゆる「都構想」に関わる権限や情報は、市役所5階にある「副首都推進局」がすべて握っている。大阪府・市の職員が半々で構成する約100人の部署だが、主導権は圧倒的に府側にある。前府知事の松井一郎市長と現在の吉村洋文知事、大阪維新の会の二人の首長が決めた方針が、副知事を通じて府出身の副首都推進局長に伝えられ、トップダウンで物事が動く。副首都推進局の外にいる市職員には、情報も、意見を言う機会もなく、決まったことだけが知事・市長案件として下りてくる、という。

松井氏(筆者撮影)

「まるで安倍政権の官邸官僚ですね」と思わず私が言うと、彼は「そう、まさにそれです」と頷いた。維新市政になったこの9年で、トップダウンという名の締め付けがどんどん強まり、「文句があるなら辞めろ」という空気になってきたという。維新の主張に沿い、一体化してふるまう──たとえば、職員研修で「公共サービスをどんどん民営化・民間委託するのがトレンドだ」と訓示するような──職員が増えているという話は、府庁でも耳にする。

2時間ほど職員に話を聞く中で、彼の口から「悔しい」という言葉が何度も漏れ出た。悔しさの理由は、大阪市がなくなることや物を言えないことのほかにもある。

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